話数単位で選ぶ、2015年TV(+WEB配信)アニメ10選

2016年01月11日(月・祝)「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」を語る会(新宿ネイキッドロフト)


上記トークイベントへの出演を新米小僧さんから依頼され、流石に手ぶら行くのは義理を欠くかなと思い選びました。
多少、作画に寄ったチョイスですが、他にも見所の多い話数なので未見の方はこの機会に是非。
今期の最終話など観れていないものもありますが、コミケが控えているのでとりあえず今の段階で。順番は最速放送順にて。


[ルール]
・2015年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。


■『アイドルマスター シンデレラガールズ』 #4 「Everyday life, really full of joy!」

脚本:永井千晶 絵コンテ/演出/作画監督:赤井俊文

卯月、凛、未央によるPR動画撮影回。シリーズを振り返ると雑破業脚本(第17話)の印象も強いが、画面の充実度でこちらを推したい。個性豊かなアイドル一人一人の魅力が伝わるシチュエーション設定で、特に莉嘉&みりあの無邪気な所作が微笑ましい。また、森佳之さん、小笠原真さん、中村颯さんなど“新世代”原画マンの仕事ぶりも光る。絵コンテだけでなく演出/作画監督を兼任し、トータルクオリティに大きく貢献したであろう赤井俊文さんの八面六臂の活躍にも注目だ。


■『ローリング☆ガールズ』 #8 「雨上がり」

脚本:むとうやすゆき 絵コンテ:平川哲生、江原康之 演出:浅見松雄、金森陽子 作画監督:九高司郎、横田匡史、小沢円、世良コータ、本村晃一 総作画監督:北田勝彦

鴨川ロッカーズ団長・一条美沙と、舞妓どすどす団長・豆千代の確執をめぐる京都編完結話。Bパート、2人の和解からライブにいたる江原康之コンテ(ラフ原画もかなり描いてる模様)のテンションは2015年トップクラス。『桜Trick』『幕末Rock』とバンド描写を担当してきた江原さんのロック魂が頂点を迎え大爆発している。(今回、服は脱がない)


■『ポケットモンスター XY』#67 「ミアレジム戦! サトシVSシトロン!!」

脚本:冨岡淳広 絵コンテ:金崎貴臣 演出:関野昌弘 作画監督:西谷泰史、松永香苗

一話まるまるバトルを詰め込んだ怒涛のアクション回。クレーン撮影のようなカメラワークと縦横無尽に画面を駆け回るポケモンが子供たちの動体視力を上げたはず。でんき、じめんなど技のタイプごとに描き分けられた多彩なエフェクトも見所。新シリーズ『XY&Z』でも同スタッフ陣によるスペシャル感のある話数に期待したい。


■『ミカグラ学園組曲』 #4 「無気力クーデター」

脚本:福田裕子 絵コンテ:三原武憲 演出:直谷たかし 作画監督:小野和美、沓澤洋子、直谷たかし 総作画監督:天崎まなむ

新入生トーナメント第一回戦、エルナVS花袋めいか。シリーズ序盤(1話〜4話)にアクション監修として入っていた向田隆さんの仕事ぶりが圧巻。戦闘が始まると一瞬にして空気が変わる様は、思わず笑ってしまうほど。決着とともに雲が晴れるのも鉄板の気持ちよさだ。『SHIROBAKO』のイメージが固まりつつあった木村珠莉さんのハジけた演技も楽しかった。


■『クレヨンしんちゃん』 #858 「シロの引越し物語だゾ」「ちんあなごを見たいゾ」

脚本:うえのきみこ、川辺美奈子 絵コンテ:増井壮一、義野利幸 演出:ムトウユージ 作画監督:末吉裕一郎、木村陽子

映画『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』にリンクさせた、野原家の愛犬シロ主役のアナザーストーリー。多少ベタなストーリー展開ではあるが、巧みな動物作画とアイレベル設定によってシロが主役であることを引き立たせ、物語への没入感を高めている。この感動エピソード後に流行のちんあなごの話が入る振れ幅も『クレしん』らしくて良い。


■『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』 #5 「レイジ・アゲンスト・トーフ」

脚本:佐藤裕 絵コンテ/演出:博史池畠

濃い影付けで夢破れた男の悲哀を描くビターな一篇。池畠博史コンテ/演出、佐藤利幸一人原画という大阪芸大出身コンビが担当。シリーズディレクターの雨宮哲さん含め、自主制作アニメ界のレジェンドを集めたスタッフィングが面白い。空を舞うニンジャスレイヤーの姿に墨絵を重ね、未来への希望を感じさせるラストカットの余韻も良い。墨絵(筆ペン)アニメーターとして『ワンパンマン』で活躍する佐藤利幸=サンの覚醒のきっかけがここにある?


■『赤髪の白雪姫』 #1 「出会い…色づく運命」

脚本:赤尾でこ 絵コンテ:安藤真裕 演出:安斎剛文 作画監督:松柏操子 総作画監督高橋久美子

カードキャプターさくら』直撃世代としては、高橋久美子デザインの少女漫画原作アニメはガード不能。コンテの高すぎる要求に答え、指先まで神経が行き届いたような人物芝居が素晴らしい。ストーリー的に盛り上がる場面を某ノンクレジットスーパーアニメーターに振っている(と思われる)のも作画好きには嬉しいところ。ちなみに作画監督の松柏操子さんは複数人による合同ペンネームだろうか。


■『ルパン三世』 #1 「ルパン三世の結婚」

脚本:高橋悠也 絵コンテ:矢野雄一郎友永和秀 演出:矢野雄一郎友永和秀富沢信雄、小山田桂子 作画監督:末永宏一、野口寛明 総作画監督:横堀久雄

バイク王CMから期待してきた横堀デザインの『ルパン』シリーズがついに実現。タッチを残した柔らかな輪郭線のキャラクター達はみなダンディ&セクシー。格子状のブック(?)を配置し立体感を強調したOPも見応え抜群だ。過去作へのリスペクトを残しつつ、スタイリッシュにアップデートされたルパンの活躍に心を盗まれる。


■『ワンパンマン』 #2 「孤高のサイボーグ」

脚本:鈴木智尋 絵コンテ:夏目真悟 演出:牛嶋新一郎 作画監督:小嶋慶祐 アクション作画監督:久貝典史

モスキート娘&進化の家軍団襲来回。深海王との戦いを描いた8話も捨てがたいがアクションのバリエーションでこちらをセレクト。S級候補の若手アニメーター達がそれぞれの得意技を繰り出している。なかでもアーマードゴリラの動かし方が秀逸。作画監督の小嶋慶祐さんが学生時代にデスラン名義で「エアーマンが倒せない」のOP風アニメを自主制作したことは一部で有名。今ではエアーマンどころか、どんな敵でもワンパンチでブッ飛ばす!


■『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』 #3 「鉄骨のひと」

脚本:會川昇 絵コンテ:久保田雄大 演出:亀井治 作画監督:小平佳幸 メカ作画監督:横屋健太

超人課と対立するサイボーグ刑事・柴来人がメインのエピソード。昭和期の史実やオマージュ、アメコミ的な「正義」をめぐるテーマ性、入り組んだ時間軸など『コンレボ』らしい一筋縄ではいかない脚本を手際よく料理。テレビCMやPVなどを手がけてきた久保田雄大さんのヴィヴィッドな感性も作品にマッチしている。また、なんと言っても終盤の中村豊パートが堪らない。人の域を超えた超人達の一挙手一投足を余すところ無く描ききった中村さんもまた超人だ。



以上、選出話数の詳細はイベントにて補足したいと思います。